1990年代から存在したテレワークは働き方改革の流れの中で広がりを見せ、2020年前半からの新型コロナ感染症拡大の影響で飛躍的に普及しつつあります。
もちろん、ビジネスにおける生産性やワークライフバランスの向上という本来の付加価値も踏まえて、積極的に導入する企業が増えているようです。
一方で、すでに導入した企業では、同じスペースでマネージャーとスタッフが仕事をしないため、従来のマネジメントとは違った工夫をすることが求められています。
今回の記事では、テレワークにおいてのマネジメントが抱える課題や手法、ポイントなどをわかりやすく解説します。
テレワークのマネジメントとは?
一般的なオフィスでの勤務形態とテレワークは大きく異なるため、従来のマネジメントのやり方で業務やスタッフを管理することは難しいと考えられています。
もちろんテレワークであっても、原則的にはオフィス勤務と同じように社内規定や労働基準法が適用されるため、スタッフは従来と同様の姿勢で業務に取り組まなければなりません。
しかし同じようにしようと思っても、進捗状況をこまめに連絡できなかったり、コミュニケーションが直接取れなかったりなどで、マネジメント上での課題が生まれやすくなっています。
とはいえ、テレワークを上手に活用できれば、生産性の向上はもちろんスタッフのモチベーションも高められるでしょう。
チームとして最高のパフォーマンスを発揮するためには、マネジメントに工夫が必要です。
マネージャークラスの人たちにとって、オフィスワークとテレワークの差異を見極め、マネジメントに反映させることが重要な課題といえるでしょう。
テレワークマネジメントの本質的な課題
ここではテレワーク導入後に発生しやすい、マネジメントの本質的な課題について見ていきましょう。
プロジェクトの進捗管理
プロジェクトは通常であれば同じワークスペース内での分業によっておこなわれるため、中心者やリーダーはこまめに各スタッフの進行状況を確認できます。それによってプロジェクトの進捗状況の把握も容易です。
しかし、テレワークで皆が違う場所で業務を進めると、よほどこまめな声掛けをしない限り、進み具合がわかりにくくなってしまいます。その結果、適切な指示が出せず、管理がより困難になってしまいがちです。
コミュニケーション不足
マネージャーにとってテレワークの最大の課題とされるのが、スタッフとのコミュニケーション不足です。
従来のようにいつでも顔を合わせられないため、どうしても会話の機会が少なくなります。その結果、スタッフ側も業務上の不安や不具合、疑問などを伝えにくくなってしまうのです。
顔を合わせていれば気がつくような、ちょっとしたスタッフの変化や不安な感じも見逃してしまいやすくなります。
このように充分なコミュニケーションが取れないと、業務に支障が出てしまうリスクがあるのです。
人事評価
テレワークでのスタッフの評価基準が定まっていないことも課題に挙げられます。働いている姿を常には確認できないため、従来の評価基準では判断できません。
また、基準が定まらなければマネージャーによって評価のポイントが異なる可能性もあります。
スタッフサイドでも、正当な評価が受けられるのかという不安を抱くケースがあるようです。スタッフの業務姿勢を直接確認できないからこそ、評価の適切な基準が求められます。
テレワークマネジメントの手法とポイント
テレワークのマネジメント上の課題を確認したところで、次にそれらの解決策を含んだマネジメントの手法およびポイントについて紹介します。
オンラインツールの活用
テレワークを導入しつつチームとして業務を進めていくには、進捗確認やコミュニケーションを円滑にするためのオンラインツールを導入することが有効です。
オンライン会議ツールやチャットツール、進捗管理ツール、業務効率化ツールなどのさまざまなツールが存在します。企業の規模や目的によって使い分けるとよいでしょう。
ツール導入でお互いの業務状況が共有しやすくなれば、チームとしてのモチベーションの維持にも役立ちます。
また、ツール導入ではセキュリティ面も無視できません。そのためツール選定から導入に時間を要する場合もあります。
マネージャーとして導入したいツールがあれば、上層部に早めに提案しておくほうが賢明でしょう。
コミュニケーションツール
スタッフ間での業務上のコミュニケーションが、リアルタイムでメールよりも容易にできるので、活用している企業はたくさんあります。
人気がある主なツールは以下のとおりです。
- zoom
- Slack
- Chatwork
- TeamHack
- Talknote
- LINE WORKS
業務効率化ツール
業務の無駄やムラを減らしてスタッフのパフォーマンスを高め、チームとしての生産性を向上させるツールです。
従来のデータ収集やルーティンワークなどを任せることができて、スタッフはその時間を有効に活用できます。
人気がある主なツールは以下のとおりです。
- BizRobo!
- WinActor
- セキュアSAMBA
- Blue Prism
プロジェクト管理ツール
プロジェクト管理ツールを使えば、テレワーク中のスタッフとの共有によって進捗管理はもとより工数やタスクの管理、予算管理などを効率的におこなえます。
ほとんどの進捗管理ツールは、プロジェクトごとにメンバーを選定したりタスクを設定したりできるため、関係者全員で進捗を確認するのに役立つでしょう。
人気がある主なツールは以下のとおりです。
- Trello
- Backlog
- Redmine
- Jira
- Asana
こまめにフィードバック
テレワークになると、ささいな迷いがあってもスタッフの方からはなかなか気軽に質問しにくく、自分で判断して業務を進めがちです。そうなると、クオリティの低下や二度手間につながってしまいます。
マネージャーはスタッフの業務に対して、できるだけこまめにフィードバックを出すようにして、不具合があれば速やかに正すようにしなければなりません。
普段から連絡が取りやすいように、定期的にミーティングをおこなったりチャットで気にかけたりなどの配慮を最大限に行うべきです。
それ以外にも誰もが気軽につぶやけるカジュアルなチャットを設定するなどの解決策もあります。
目標を数値化
定性的な評価や基準があいまいな指標を設定すると、それぞれの認識の違いが生まれやすくミスコミュニケーションの温床となりがちです。
お互いが見えにくいテレワークでの業務だからこそ、誰もが認識できる数値で定量的に評価しなければなりません。
マネジメント次第でテレワークは活性化!
新型コロナの影響によって普及が加速化するテレワークにおいて、マネジメントが抱える課題や手法、ポイントなどを解説しました。
マネージャーの方は「進捗管理」「コミュニケーション」「人事評価」の3つの課題にフォーカスするのが賢明です。
ツール導入とともにこまめな配慮、そして目標の数値化によって各スタッフの働きぶりを「見える化」して共有し、チームのパフォーマンス向上を図りましょう。