テレワークで「残業代出ない」は間違い!正当な残業代をもらう方法

テレワークは新型コロナの影響が後押しして、いまや多くの企業が導入しています。通勤にかかる時間やコストを削減できるなど、大きな利点もありますが、一部では残業代がカットされるなどのトラブルのタネにもなりかねません。

法的には、テレワークであっても通常の勤務と同じように労働時間が管理されるべきもので、時間外で働いた場合は残業代を請求することが可能です。

残業禁止命令が出されている場合もあるようですが、業務量が多過ぎるために残業をしなければ仕事に支障が出るのなら、当然の権利として残業代を請求できます。

今回の記事ではテレワークの残業についての、適切な扱い方について解説していきましょう。テレワークで残業をすることがある方は、参考にしてください。

残業時間の扱いはテレワークの重要課題

テレワークにおいての残業は人によって、あるいは立場によってさまざまな捉え方があり、トラブルの元となりやすくて重要な課題となっています。

そもそもテレワークを導入すると残業は増えるのでしょうか、減るのでしょうか?

テレワークの残業は増えるのか減るのか、その実態

連合(日本労働組合総連合会)の調査「テレワークに関する調査2020」によると、 2020年4月以降にテレワークにおいて通常勤務よりも労働時間が長くなることがあったと51.5%が回答しています。

また、時間外労働をしたにもかかわらず申告しない人が65.1%、勤務先から時間外として認められなかった人が56.4%です。

実態としては残業が増えているケースが多く、しかし申告しないでサービス残業にしている人や申告しても認可されないケースが多く見られます。

適正な残業管理を促す厚生労働省のガイドライン

働き方改革を推進し、テレワークを推奨する厚生労働省では、テレワークの時間外労働などにまつわる労使間のトラブルを避けるために「テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン」を発表しています。

その要旨は以下のとおりです。

実労働時間やみなされた労働時間が、法定労働時間を超える場合や、法定休日に労働を行わせる場合には、使用者側は労働者側と「時間外労働・休日労働に関する協定」(36協定)の締結と届出および割増賃金の支払いが必要となります。

また、深夜に労働した場合は深夜労働にかかわる割増賃金の支払いが必要です。

そのためテレワークを行う労働者は、業務に関わった時間を日報などにおいて記録し、使用者はそれをもって労働者の労働時間の状況を適切に把握し、必要に応じて労働時間および業務内容などについて見直すことが望まれています。

「テレワークの残業代は出ない」の主張は正当?

社員がテレワークの残業代を請求した場合に、一部の経営者がテレワークの残業代は出ないという主張をして請求を退けるケースがあり、問題視されることがあります。

この主張は正しくはありませんが、なぜそのような主張がなされるようになったのでしょうか。

みなし労働時間制の解釈の間違いが原因

テレワークを導入している企業では、従業員が実際に業務に就いていた時間にかかわらず、あらかじめ決定しておいた時間の業務を行ったとみなす「みなし労働時間制」が採用されていることが多いです。

つまり、それを使用者側が都合よく解釈すると、「何時間働いても決められた労働時間分の給与になるんだ」ということになるのでしょう。

もちろん、実際は必ずしもそうなりませんが、そういった認識が誤解の元になっていると考えられます。

増えた労働時間の残業代カットを避ける対処法

そういった誤解はあるにせよ、残業代が請求できる場合は泣き寝入りせずにしたほうがよいのは当然です。それが通らなければブラック企業といえるでしょう。

増えた労働時間の残業代カットを避ける対処法を、条件別で見ていきます。

みなし労働時間制の場合

まず、前述のみなし労働時間制であっても、実際の労働時間が1日8時間あるいは1週40時間の法定労働時間を明らかに超えている場合は、超えている時間について残業代が発生するので、請求しましょう。

フレックスタイム制の場合

次に、フレックスタイム制では、出退勤の時間そのものが従業員の裁量に任されているという性質があるので、時間外手当の対象となる時間を日単位で計算することができません。

この場合は3か月をマックスとした清算期間を設け、その期間内の労働日数を7で割って何週間かを割り出し、それに40時間を掛けた数値が清算期間内の所定労働時間となります。

期間内の通算で、それを超えた労働時間があれば、残業代の対象となります。

裁量労働制の場合

最後に、みなし労働時間制のバリエーションのひとつとして裁量労働制というものがあります。

一般的なみなし労働時間制では、オフィスなどの本来の事業場以外においての労働時間などがみなし労働時間の対象です。

それに対してこの裁量労働制では、出退勤のタイミングや始業や終業のタイミングなどのすべてが従業員の個人の裁量に任される制度となります。

ただし、あくまで裁量労働制を採用できる職種は限定されており、マスコミや研究者などです。

この裁量労働制では、そもそも時間外勤務の概念自体がないので、原則的には残業代は発生しません。

しかし、特例として深夜割増賃金(午後10時から午前5時までの間の労働)や休日手当は発生することになっています。裁量労働制でも、時間外手当が一切発生しないというわけではないということです。

なお、上記のいずれの場合においても、考え方は正しくても残業代がカットされないように請求するためには、その時間を客観的に証明しなければなりません。

その労働時間管理の方法として先の連合の調査によれば、もっとも多いのは「ネットワーク上の出退勤管理」で27.6%です。次いで「管理者へのメール」が18.7%、続いて「パソコンの使用時間記録」が16.7%となっています。

働き方のパターンによって、他にもよい方法があるかもしれません。あなたに合う方法で、進んで時間管理を行っておきましょう。

テレワークの正当な残業はあらかじめ手当を主張しよう!

目覚ましく普及しつつあるテレワークの残業についての適切な扱い方について解説しました。きちんとルールを理解しておけば、証拠を残すことによって残業代は請求できます。

また、使用者が誤解していても、自分が理解していればブラック企業でない限り正当な請求に関して説得することは可能です。

ただし、給料が支払われた後からだと言い出しにくくなるので、給与計算の前にあらかじめ上司や経理部門に報告してできるだけ穏便に進めましょう。

リモートワークのくふう編集部

リモートワークのくふう編集部は、新しい働き方を応援しています。

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