ハンコのためだけに出社?テレワークで課題の「押印問題」と5つの解決策

テレワークがますます普及していくなかで、それを妨げるハンコ・押印問題が多くの企業で課題となっています。

これまでのビジネスの習慣で、稟議書や取引先との契約書などに押印をするためだけに出社をするケースも。処理の時間もかかります。この記事では押印の持つ意味と課題の解決策を紹介します。

テレワークで課題に上がる押印問題とは?

新型コロナの影響で、企業のテレワーク導入が進んでおり、東京商工会議所が会員企業に調査したところ、実施率はおおむね7割あるいはそれ以上にまで普及していると見られます。

しかし、テレワークによって浮き彫りとなってきたのが押印問題です。具体的にどのような不具合があるのかを見ていきましょう。

押印だけのために出社するムダ

契約書などで押印が必要な場合は、担当の責任者はわざわざそのためだけに出社する場合もあります。デジタル技術の普及のおかげでテレワークをしているにもかかわらず、アナログなハンコを押す作業のためだけにわざわざ出社が必要です。

それでも押印はものの数秒で完了します。その数秒のためにムダ(と言い切るには語弊がありますが)に出社している現状があるのです。

稟議書の回覧に時間がかかりすぎる

テレワークにより、稟議書の回覧が遅くなるという問題があります。関係幹部の承認印が必要な稟議書では、数名の押印が必要なので従来でも時間がかかりました。

テレワークで押印も簡単にできなくなったため、これまで以上に回覧がなかなか進まない不具合が出ています。

契約が遅れる

契約書などの押す重要な印章に関しては、保管しているのは代表者であることが多く、押印のために代表者との調整が必要となるケースがあります。

そのため、契約完了が遅れて、ビジネス上の機会ロスが起こりかねません。悪くすればそれが原因で、企業の顧客からクレームがくることもありえます。

ビジネス上の契約とハンコの役割

押印問題が多くの企業でクローズアップされていますが、ビジネス上で押印はどれほどの意味を持つのでしょう。本当に必要なのでしょうか。

ここでは押印が法的に意味を持つのか、また押印をする理由について触れておきましょう。

押印は絶対に必要か?

法律上では、押印がなくても双方が合意していれば契約は成立します。押印は意思表示のカタチのひとつですが、それでなければならない訳でもありません。

社内の文書でも押印されてないことで、不備の指摘を受けることもあります。しかし、それは法律上の必要性ではなく、慣習としてそれが承認と結び付けられているというのが実際のところです。

契約書に印鑑を押す理由

法的には必要がないのに、なぜ契約書に押印する習慣がなくならないのでしょうか。

その理由は、客観的な証拠としての手段として、ハンコは適切であると考えられていたからです。契約書で使用する印章は手彫りで、ひとつひとつが違うので書類の偽造や改ざんが困難だという認識がありました。

しかし、そういった物理的な改ざんは、技術が進歩して可能になってきており、客観的な証拠としての押印の意味は薄れてきているのも事実です。

テレワークでの押印問題5つの解決策

最後にテレワークでの押印問題を解決するための方法を紹介しておきましょう。それは主に、以下の5つです。

・電子印鑑の利用

・電子署名の利用

・電子契約システムを利用する

・契約完了を優先し押印は後日とする

・サインで対応する

それぞれを見ていきましょう。

電子印鑑の利用

電子印鑑とはその名のとおり、PC上で使える電子的な印鑑です。この電子印鑑はPDFなどのファイルに押印のように付加することができます。書類への押印を、PC上の文書で再現するようなイメージです。

電子印鑑を導入するメリットは、書類の作成や押印をすべてPC上でできるので、業務効率が上がることです。押印のためだけに出社することも不要になります。

電子署名の利用

電子署名とは、電子文書の真正性を担保する暗号データの技術です。オンライン上で電子署名を使って交わされた契約が電子契約となります。

電子署名は印鑑や署名と同様に、本人によって付与されたことを証明できる旨が「電子署名法」によって定められています。

電子署名の良い点は、電子印鑑と同じく業務を効率化できることです。押印のためだけの出社も必要がありません。

一方、注意点はサイバー攻撃の懸念です。電子署名を付与してある電子文書は管理サーバーで一括管理していることが多いので、サイバー攻撃を受けてデータが流出するリスクがあることから、万全のセキュリティ対策が必要です。

また電子署名が使えない種類の書類も存在するので、取引先によっては利用できないケースもあります。

電子契約システムを利用する

電子契約システムとは、書面や印鑑を電子化するだけではなく、その取り交わし自体もクラウド上で完結させるシステムです。

関係者間でプリントアウトした書類を手渡ししたり、郵送したりする必要はなくなります。テレワークの精度を向上させるためには、電子契約システムの導入が役立つでしょう。

ただし、こちらもすべての契約で適用できるわけではなく、取引先の同意がなければ使えないので注意が必要です。

契約完了を優先し押印は後日とする

押印が必要な書類でも、先方企業との合意のもとで柔軟な対応をすることができます。押印はなくともまず手続きだけは進めておき、契約完了を優先します。

後日どこかで出社した際に押印するか、押印したものと差し替えるかで対応する方法です。テレワークでも定期的な出社日が設定されている会社も多いので、その日にまとめて押印するとムダがありません。

サインで対応する

欧米のようにサインで対応するのも、ひとつの方法です。先方との合意にてサインでOKにしておけば、押印のために出社しなくても、プリントアウトした書面にサインをして郵送することで済みます。

場合によってはスキャンした画像でOKなので、メールで送れます。

テレワーク時代には押印のムダな習慣を見直そう

テレワークで課題となっている押印問題について、押印の意味や必要性と解説策を紹介しました。法的には絶対ではないものの、ビジネス慣習としては根強く残っている場合があります。

しかし、双方が納得すれば柔軟に対応できるので、テレワークの効率化を妨げないように習慣を見直すことこそ、テレワーク時代の課題なのではないでしょうか。

リモートワークのくふう編集部

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