テレワーク・リモートワーク・在宅勤務の違いとは?働き方の呼び方を徹底解説

「働き方改革」が叫ばれる中、多くの企業では、長時間労働の是正や有給取得などへの取り組みが進められています。
そして、働く場所についても、時間や場所に縛られない働き方としてテレワークや在宅勤務の導入が進められています。

今回は、働き方の呼び方でよく使われ混同されがちな「テレワーク」「リモートワーク」「在宅勤務」の言葉の定義や意味について解説します。

テレワークとは?

テレワークとはそもそも、どのような意味なのでしょうか?
「テレフォンワークの略?」という風に誤解されている方もいるかもしれません。

テレワーク(Telework)は南カルフォニア大学でITの研究をされていたジャック・ニールズ氏(Jack Nilles)が1973年に作った言葉です。テレはTeleを表していて、「離れた所で」という意味です。なので、「離れたところで働く」というような意味になるかと思います。

なお、テレフォン(Telephone)のTeleも接頭語として同じ意味です。
ジャック氏はTelework(テレワーク)とTelecommuting(テレコミューティング、在宅勤務)を区別していたようです。

  • テレワーク
    普段通うオフィス以外で仕事をすること。

  • テレコミューティング
    通勤時間ゼロ。要は自宅で勤務をすること。

似ているようで少し違いますが、混乱しますね。

では日本での定義はどうなっているのか、総務省のサイトを見て確認してみましょう。

総務省によると「テレワークとは、ICT(情報通信技術)を利用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方です」とあります。

少し分かりにくい定義ですが、インターネットなどのICTを活かして、色々な場所(自宅、喫茶店、シェアオフィスなど)で時間に縛られず働くこと、という意味になるかと思います。
そのため、上記のジャック氏のテレワークとテレコミューティングを足した定義と言えそうです。

テレワークの種類

総務省はテレワークを下記2つに分類しています。

①雇用型テレワーク

「①雇用型テレワーク」は企業に勤務する被雇用者が行うテレワークのことです。企業や役所に勤める方がオフィス以外で働くことを指していますので、一般的にテレワークというとこちらのイメージでしょうか。
具体的には以下3種類に勤務体系になります。

(1)在宅勤務

その名の通り自宅で働くことです。2020年5月現在、この形態で働いている方も多いかもしれません。

(2)モバイルワーク

施設に依存せず、いつでもどこでも仕事ができるようにすることです。新幹線での移動中や公園での仕事が該当するでしょうか。

(3)施設利用型勤務

サテライトオフィス、テレワークセンター、スポットオフィス等で仕事をすることです。最近開業が増えているシェアオフィス、コワーキングスペースなどでの業務が該当します。

つまり、①雇用型テレワークはフルタイム全てがテレワークでなくても、週1回の午前だけ、という形態もあるということです。
また、総務省の定義によると、在宅勤務は雇用型テレワークの1つということになります。

②自営型テレワーク

「②自営型テレワーク」は、個人事業者・小規模事業者等が行うテレワークのことです。個人事業主や内職をされている方がおこなう形態で、WEB関係の個人事業主の方はこの形態の方が多そうです。具体的には以下2種類の勤務体系となります。

(1)SOHO

主に専業性が高い仕事をおこない、独立自営の度合いが高いものです。SOHOとは、Small Office / Home Officeのことですから、個人事業主の方を指すでしょう。

(2)内職副業型勤務

主に他のものが代わっておこなうことが容易な仕事をおこない、独立自営の度合いが薄いものです。シール貼りや部品の組み立てなどの内職が該当すると思われます。

総務省の提示するテレワークの種類について見てきましたが、2020年5月時点で「テレワーク推進を!」と言った時の意味合いは「雇用型テレワークにおける在宅勤務」と言えるでしょう。

日本におけるテレワークの歴史

1984年~:NECから始まった日本のテレワーク

日本のテレワークの歴史は、NECが1984年に東京・吉祥寺にサテライトオフィスを設置したことが始まりです。当時のNECは東京・港区に本社を構えていたため、通勤負担の減った女性プログラマーの能力を活用できたようです。

1988年~:バブル期におけるテレワークの盛り上がり

1980年代後半にバブル景気に盛り上がると、日本の土地価格は急騰。オフィスコストが跳ね上がった結果、テレワークブームが起こります。この時期、志木、大宮や船橋などに大企業はサテライトオフィスを次々に作ります。サテライトオフィスは大画面テレビ会議システムやカメラを備え、本社に出社しなくても本社にいるように仕事ができるように整えられました。2020年の現在から見てもなかなか先進的ですね。そして、中には「八ヶ岳リゾートオフィス」を設立する企業もあらわれました。

1992年~:バブル崩壊によるテレワーク冬の時代

しかし、1990年代初頭にバブル景気が崩壊すると、テレワークは「冬の時代」に突入します。バブル崩壊による都心オフィスのコスト減、そもそもパソコンやインターネットがまだ普及していなかったために業務環境が整っていなかった、不況下で従業員に働きやすい企業というアピールする必要がなくなった、といった理由があるようです。

1998年~:パソコン・インターネットの普及によるテレワーク再評価

しかし、1998年以降、仕事でパソコン・インターネットを使うことが一般的となった結果、テレワークに再評価の動きが生まれます。バブル期のテレワーク推進が地価高騰・労働市場対策という意味合いが強かったのに対し、この時期以降のテレワークはより効率的な働き方を模索した点で特徴があります。この時期以降、斬新的にテレワークは進むこととなります。

そして、2020年の新型コロナウィルス感染拡大によるテレワークの大推進につながっていきます。 テレワークの歴史を振り返ると、一度はバブル期に盛り上がるも、その後数年は冬の時代を迎えたことが印象的です。2020年代のテレワークは冬の時代を生むのか、そのまま定着するのか、どちらになるのでしょうか。

※出典:総務省 テレワークの動向と生産性に関する調査研究報告書

リモートワークとは

続いて、テレワークと似た言葉であるリモートワークについて説明していきます。

リモートワーク(remote work)は英語のremote(遠くで)とworkを足した造語で、オフィス以外で働くこと、を指します。テレワークとほぼ同じ意味ですが、若干のニュアンスが異なります。テレワークは既に述べたように「(1)在宅勤務」「(2)モバイルワーク」「(3)施設利用型勤務」での労働を想定しており、定義がやや厳密といえるでしょう。

一方、リモートワークはオフィス以外で働くこと全てを指します。そのため、リモートワークの方が自由度が高いのかもしれません。
ですが、「上記3要件に入らなければテレワークじゃない!」というわけではないので、一般的には「テレワーク≒リモートワーク」で良いと思います。

テレワークのメリット・デメリット

ここでは、テレワークのメリット・デメリットをみていきたいと思います。

テレワークのメリット

・多様な形で柔軟に働ける

特に、育児・介護・通院している方にとってはメリットになるでしょう。
保育園のお迎えに行かないといけない、小学校が終わる15時には家にいたい、毎週水曜日は病院に3時間かかる、などの場合、テレワークで柔軟には働けることは大きなメリットでしょう。

・通勤時間が削減され、満員電車のストレスから解放される

会社から遠い人にとってこれは大きいでしょう。片道1時間かけている場合、1日2時間が浮くこととなります。特に大都市圏では、満員電車のストレスから解放されることも大きなメリットといえるでしょう。

・(企業にとって)コスト削減となる

テレワークを推進すると、出社する社員が減るため、オフィス費用を削減することができます。事実、一部では2020年5月現在、オフィスを解約し始めているベンチャー企業もあるようです。また、交通費の削減も期待されます。

・(企業にとって)優秀な人材の離職リスクを減らせる

「15時には自宅にいたい」といった就業時間の配慮の必要がある社員の離職リスクを減らすことができます。

テレワークのデメリット

・組織力やチーム力の低下

新しいアイディアなどは雑談している時や同僚とランチしている時に出たりするものです。テレワークによるオンライン会議は雑談に向かず、コミュニケーション機会が失われがちです。テレワークする場合にはいかに雑談を含めたコミュニケーションの機会を確保するかが欠かせません。

・集中しにくい人もいる

在宅勤務型テレワークでは、いつも周りにいる上司や同僚の目がないため、集中しにくい人もいるでしょう。
予備校を例にとってみるとわかりやすいですが、何のための予備校があるのでしょうか。全ての人が自分の強い意志で勉強できるのなら予備校はほぼ必要ありません。しかし、予備校は存在しています。それは、多くの人は強制される環境でないと勉強しないからです。

・(個人にとって)費用がかかる

在宅勤務型テレワークをおこなう場合、自宅には光回線、机、椅子、モニター、ヘッドセットなど様々な機器が必要になります。勤務企業が負担してくれないと、これは労働者が支払うこととなり、費用がかかってしまいます。
カフェやコワーキングスペースを利用した場合も費用がかかってしまう点は変わりありません。

・(企業にとって)情報漏洩リスクがある

ネットワークの仕組みをキッチリと整えないと企業にとっては情報が漏洩するリスクがあります。また、社員がカフェなどで仕事をした場合、モニターを第三者が見てしまうリスクなどもあります。情報漏洩リスクが企業存続にかかわる場合、しっかりとした対策が必要でしょう。

まとめ

本記事では、テレワークの定義や歴史、リモートワークや在宅勤務との言葉の定義による違い、メリット・デメリットについて解説しました。

働き方改革が進むなか、昨今では新型コロナウイルス感染症予防のため、テレワーク・リモートワーク・在宅勤務を推奨する企業も増えてきました。
テレワーク等の働き方のメリット・デメリットをきちんと把握し、生産性の向上を図った新しい働き方を実現していきましょう。

リモートワークのくふう編集部

リモートワークのくふう編集部は、新しい働き方を応援しています。

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