急速に広まった「テレワーク」という働き方。在宅勤務人口の増加とともに、オフィス勤務とテレワーク・リモートワークを使い分けるハイブリッドワークや、個人作業は在宅で…といった多様な働き方が生まれ始めています。
一方、在宅勤務でしばしば問題になるのが自宅のインターネット回線。環境によっては『Zoom』などのテレビ会議の最中にフリーズしたり、ファイルの送信中に切断してしまったり…。また、大きなファイルをやりとりする際に回線がふさがってしまうと、家族から「スマホで動画が観られない!」とクレームが来てしまったという声もあるようです。
そこで、「場所に依存しない働き方」を推進・支援する情報を発信するWEBメディア「テレワーク・リモートワーク総合研究所(テレリモ総研)」が、現在テレワークしている方を対象に「インターネット環境」について調査を行いました。
Q.利用中のインターネット回線はなんですか?(複数回答可)
光回線+Wi-Fi 50.79%
今回のアンケートで、最も多かった回答がこちらです。家庭用の光回線は一軒家に向けたサービスはもちろんのこと『マンションタイプ』と呼ばれる集合住宅向けサービスも含め、家電量販店などで簡単に契約することができます。また、Wi-Fiを飛ばすためのルーターがセットになっている場合も多いことから今回の結果につながっていると思われます。
使い方によってはスマートフォンの通信量を節約できたり、タブレットやノートパソコンを接続して家庭内のどこからでもインターネットが利用できたりとメリットも多いため、在宅勤務を始める前から導入していたという方も多いのではないでしょうか。
光回線+LANケーブル 22.75%
在宅勤務にかかわらず、すでにパソコンを所持している場合は家庭用に回線を引いていることが多いのではないでしょうか。前述したようにWi-Fi用のルーターがサービスに含まれていることがある一方、あえてLANケーブルをパソコンにつないで作業をするという方も多くいらっしゃいます。
LANケーブルをつなぐ場合、Wi-Fiと比較して行動範囲はどうしても狭くなってしまいますが「電波の混線が少ない」「データのやりとりが安定する」などといったメリットがあり、高速回線を安定的に利用したいという方から支持されているようです。
Wi-Fiルーター(ドコモ、au、ソフトバンク)9.84%、(その他)10.31%
在宅勤務になってインターネット回線が必要になったけれど、回線工事の日程調整や立ち合いが面倒……という声も聞かれます。その点、工事なしで使用できる手軽さからか、Wi-Fiルーターを使用している方も約2割にのぼりました。
携帯電話と同じキャリアのサービスを契約することで割引が受けられるなど、お得なプランが用意されているのも特徴ですが、1日に使用できるデータ量に制限がついている場合もあるため、業務上インターネット回線の利用頻度が高い方は注意が必要となりそうです。
ADSL(LAN、Wi-Fiあわせて)9.66%
ADSLとは光回線とは違い、電話回線を利用した高速インターネット回線のことを指します。前述の光回線や、Wi-Fiルーターをはじめとしたモバイル回線の普及により、存在を耳にすることは少なくなりましたが、光回線の届かない地域もあるのが実情です。そういった地域においては広いエリアで使えるADSLが重宝されていることもあるようです。
スマートフォン(4G) 9.94%
家庭にインターネット回線を引いていないパターンです。パソコンを使用せずにスマホアプリを用いて『Zoom』などでテレビ会議を行ったり、パソコンを使う場合も、スマートフォンやタブレットをルーターとして利用するテザリングという方法を用いて、4G回線に接続するという方法が該当します。
普段から使用している回線を使うため、最もお手軽な方法と言えますが、データ通信量が多くなってしまうと、通信制限までの容量(いわゆる「ギガ」)をあっという間に消費してしまう場合もあるようです。
スマートフォン(5G) 0.84%
いよいよサービスを開始した第5世代移動通信システム『5G』。モバイル通信用回線でありながら、家庭用の通信速度に迫る高速回線ということで、様々な可能性が期待されています。
5Gのサービスは始まったばかりのため、今回の調査では1%未満でしたが、数年後には割合が大きく変動している可能性もあるかもしれません。
Q.インターネット回線やWi-Fi環境への不満点はなんですか?(複数回答可)
6割以上の方が現在のインターネット環境に不満があるという結果となりました。
回線速度が不安定(つながらない時がある) 32.9%
オフィスで使用している回線に比べ、家庭用のインターネット回線は不安定になりやすく、特にマンションタイプと呼ばれる集合住宅で共用の光回線をしている場合や、モバイルルーターなどを使用している場合などに発生することがあるようです。
テレリモ総研の調査では、約2割の方が回線速度の不安定さがテレワークのストレスの要因になっていると回答していることから、テレワークにおいてインターネット環境を整備することの重要性がうかがえます。
回線速度が遅い 22.6%
上記と同じく、共用の光回線をしている場合や、モバイルルーターを使用している場合、地域の利用者が多すぎると、極端に回線速度が遅くなってしまう不具合が発生する事があるようです。そのような不具合が多発する場合は、一度プロバイダに相談してみてもいいかもしれません。
回線料金が高い 12.35%
月に数千円でも、それが毎月となれば家計にも響いてきます。今までインターネットを導入していなかったご家庭の場合はなおさらではないでしょうか。とはいえ、在宅勤務の場合、インターネット環境の有無や安定性が業務効率に直結することもあり得ます。
これから契約する場合、業務内容からインターネットの通信頻度を想定し、最適な接続方法や通信プランを比較検討して無駄なく快適なテレワーク生活を送りたいものです。
セキュリティが心配 14.58%
オフィスに比べて、家庭用のインターネット環境ではセキュリティが脆弱になってしまいがちです。知らない間に、大事なデータが盗まれてしまうかも……? 特に業務利用の場合は、アンチウィルスソフトや通信を暗号化し安全性を高めるVPNなどのセキュリティ対策は不可欠となりそうです。
まとめ
プライベートで利用する分には快適だった自宅のインターネット環境が、業務利用においては何かしら不満を感じているという方が6割を超えることが分かった今回の調査。接続に不具合のある状況で仕事をするのはストレスをを感じやすいだけでなく、生産性にも影響が出てしまうかもしれません。
昨今のコロナ禍を機に在宅勤務となった方も、以前から在宅勤務されている方も、ご自宅が安心安全に、そして快適にインターネット利用できる環境になっているかいま一度見直してみてはいかがでしょうか。
テレリモ総研 「インターネット環境についての調査」概要
・調査期間:2020年9月1日~2020年9月4日
・調査対象:全国20歳〜65歳のテレワーク/リモートワークを経験したことがあるワーキングパーソン男女1077名
・調査方法:インターネット調査
※出典元:株式会社LASSIC